非上場株式の評価方法とは?上場株式との違い
非上場株式は市場価格がないため、相続や事業承継の際に、その価値をどう評価すればよいのか分からない場合があります。
評価方法を誤ると、高い相続税を支払うことになったり、後継者との間でトラブルが生じたりするリスクがあります。
この記事では、非上場株式の評価方法について解説いたします。
非上場株式とは?
非上場株式とは、証券取引所に上場していない会社の株式のことです。
公開市場での売買が行われていないため、上場株式のように市場価格が存在しません。
このため、非上場株式の価値を評価する際には、特別な方法を用いて、その価値を算出しなければなりません。
非上場株式の価値は、相続税や贈与税の算定、M&Aや事業承継の際の価格決定、会社法上の株式買取請求の際の価格決定など、様々な場面で必要となります。
非上場株式は、多くの中小企業の経営者やその親族が所有していることが多く、相続発生時には、その財産評価が大きな課題となります。
非上場株式の評価方法
非上場株式の評価方法には、主に原則的評価方式と特例的評価方式の2つがあります。
どちらの評価方式を適用するかは、会社の規模や株主の種類によって異なります。
正確な評価を行うためには、会社の財務状況や事業内容、将来性などを総合的に判断する必要があります。
原則的評価方式
原則的評価方式は、非上場株式の価値を評価する際の基本的な方法です。
この方式には、会社が営む事業の類似性に基づいて評価する類似業種比準方式と、会社の純資産額に基づいて評価する純資産価額方式の2種類があります。
これらの方式は、会社の実態をより正確に反映するために、状況に応じて使い分けられます。
類似業種比準方式
類似業種比準方式とは、評価する会社と事業内容が類似している上場会社の株価を基準として、非上場株式の株価を評価する方法です。
具体的には、類似する上場会社の株価と、評価する会社の1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価額を比較して、その比率から株価を算出します。
この方式は、上場会社に類似した会社を評価する際に適しており、活発な事業活動を行っている会社の評価に用いられます。
この評価方法を用いることで、非上場会社であっても、市場の動向を反映した株価を算出することが可能になります。
純資産価額方式
純資産価額方式とは、会社の帳簿上の資産額から負債額を差し引いた純資産額を基に、株価を評価する方法です。
この方式では、会社の純資産額を相続税評価額に引き直し、発行済み株式数で割って1株あたりの株価を算出します。
不動産や有価証券の含み益が考慮される点が特徴です。
この方式は、事業活動が停滞している会社や、資産が事業の中心である会社の評価に適しています。
特に、会社の大部分を不動産が占めているようなケースでは、純資産価額方式がよく用いられます。
特例的評価方式
特例的評価方式は、評価する会社の状況が小規模であり、原則的評価方式を適用するのが困難な場合に用いられる方法です。
具体的には、小規模な会社や、事業規模が著しく小さい会社、配当や利益が出ていない会社などが対象となります。
この方式は、純資産価額方式を基に、評価額を一定割合で減額して算出します。
特例的評価方式を適用できるかどうかは、会社の規模や状況によって決まります。
この方式を用いることで、小規模な会社の株価を、より実態に即した形で評価できます。
非上場株式の評価方式決定の流れ
非上場株式の評価方式は、以下の流れで決定されます。
まず、会社規模の区分です。
会社の総資産額や従業員数、取引規模などに基づいて、会社を大会社、中会社、小会社に区分します。
次に、株主の区分です。
評価する株式を、経営権を持つ主要株主が所有しているのか、それとも少数株主が所有しているのかによって区分します。
最後に、評価株価の区分です。
会社規模と株主の区分に応じて、どの評価方式を適用するかが決定されます。
たとえば、大会社の場合は類似業種比準方式を、小会社の場合は純資産価額方式を用いるのが一般的です。
まとめ
非上場株式は、市場価格がないため、相続税や贈与税の算定時には特別な評価方式を用いて価値を算出します。
評価方式には、類似業種比準方式や純資産価額方式といった原則的評価方式と、小規模な会社に適用される特例的評価方式があります。
どの評価方式を適用するかは、会社規模や株主の区分などによって決定されます。
非上場株式の評価は複雑なため、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
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