障害者控除とは?計算方法も併せて解説します
障害者控除は支援を必要とする障害者の方々の税負担を大きく減らすことのできる制度です。
しかし、実際にどのような優遇を受けられるのか、ご存じの方は少ないと思います。
本記事では、相続税における控除制度の概要や計算方法などについて解説していきます。
障害者控除とは
障害者控除は、障害を持つ相続人や受贈者の生活の安定と将来の扶養を支援するために設けられた税制上の優遇措置です。
相続税においては、その人が納付すべき相続税額から一定の金額を差し引くことができる税制控除として機能します。
この控除は、対象となる相続人の年齢や障害の程度によって控除額が変わります。
なお、この制度の適用を受けるためには、相続人が障害者手帳などによって障害者として認定されていることが必要です。
相続税の障害者控除の適用要件
相続税の障害者控除の適用要件は以下の4つです。
- 相続人が障害者基本法に規定する特別障害者または一般障害者に該当すること
- 相続開始時において、その相続人が日本国内に住所を有していること
- 相続人が法定相続人であること
- 相続開始時において、その相続人の年齢が85歳未満であること
これら全てを相続人が満たしている必要があります。
特別障害者と一般障害者の違いとは
相続人が特別障害者であるか一般障害者であるかによって、障害者控除の計算方法が変わります。
まずは、特別障害者と一般障害者の要件について確認していきましょう。
特別障害者の要件
特別障害者としての要件は以下の通りです。
- 知的障害者:児童相談所などの判定により重度の知的障害者とされた人
- 精神上の障害:精神上の障害により常に判断能力がない状態にある人
- 精神障害者保健福祉手帳:障害等級が1級と記載されている人
- 身体障害者手帳:障害の程度が1級または2級と記載されている人
- 戦傷病者手帳:恩給法別表第一号表ノ二の特別項症から第三項症までに該当する人
- 原子爆弾被爆者:厚生労働大臣の認定を受けている人
- 市町村長等の認定:常に就床を要する人や65歳以上で、上記に準ずる特別障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人
上記のいずれかに該当する相続人は、特に重度の障害を抱えているとして、特別障害者となります。
一般障害者の要件
一般障害者の要件は以下の通りです。
- 知的障害者:児童相談所などの判定により知的障害者とされた人のうち、重度の知的障害者以外の人
- 精神障害者保健福祉手帳:障害等級が2級または3級と記載されている人
- 身体障害者手帳:障害の程度が3級から6級までと記載されている人
- 戦傷病者手帳:恩給法別表第一号表ノ二の第四項症から第六項症まで、または恩給法別表第一号表ノ三に定める障害がある人など
- 市町村長等の認定:常に就床を要する人や65歳以上で、上記に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている人のうち、特別障害者に準ずるもの以外の人
上記のいずれかに当てはまる相続人は、特別障害者に該当しないものの、一般障害者として、控除の対象となります。
計算方法
相続税の障害者控除の金額は、以下の計算式で算出されます。
- 特別障害者の場合: (85歳 - 相続開始時の年齢) × 20万円
- 一般障害者の場合: (85歳 - 相続開始時の年齢) × 10万円
たとえば、相続開始時に70歳の特別障害者である相続人の場合、控除額は300万円となります。
式:(85歳 - 70歳)× 20万円 = 300万円
なお、1年未満の端数は切り捨てて計算します。
また、この控除額は、その相続人自身が納付すべき相続税額が限度となります。
障害者控除の控除額が余った場合
障害者控除の控除額の計算結果が、その相続人の納税額よりも多かったために控除額が余ってしまった場合、その余った金額は無駄にはなりません。
余った控除額については、その障害者を扶養する義務のある他の相続人の相続税額から、その余剰分を限度として差し引くことが可能です。
扶養義務者が複数人いる場合は、余った金額分を各扶養義務者に対して均等に、もしくは相続税額に応じて傾斜をつけて分配します。
ただし、扶養義務者も相続または遺贈により財産を取得していることが前提となります。
まとめ
相続税における障害者控除は、障害者の年齢や状況に基づき、納税額から一定額を差し引く税額控除です。
障害者控除は、障害を持つ家族の生活の安定を図るための重要な措置ですが、適用にはいくつかの要件があることを把握しておく必要があります。
相続税などに関してお困りの際は、専門の税理士までご相談ください。
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