相続税の申告は自分でできる?注意すべきポイントとは

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相続税の申告は自分でできる?注意すべきポイントとは

相続税の計算は複雑です。

財産の評価や特例の適用など、さまざまな条件を考慮しなければなりません。

正しく申告するためには相続の知識が必要です。

この記事では、相続税を自分で申告するうえで注意すべきポイントを解説していきます。

相続税の申告は自分でできる

相続税の申告は自分でできます。ただし条件によって、その難易度は変わります。

たとえば次の状況を見てみましょう。

 

  • 相続人は1
  • 相続するものはほぼ預貯金のみ

 

この状況であれば、相続税の計算や申告は比較的簡単です。

しかし次の場合ではどうでしょうか。

 

  • 相続人が複数いる
  • 不動産など評価の必要なものがある
  • 生前贈与されている

 

相続人や不動産の状況によっては、控除が発生したり特例が適用されたりします。

とくに相続人や不動産の数が多いほど計算は複雑です。

生前贈与されている場合には、それも考慮して計算しなければなりません。

 

相続税の申告には期限があります。

相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内です。

期限内に計算・申告が可能かを考慮し、自分で申告を行うか、税理士に相談するかを判断してください。

自分で申告する時に注意すべきポイント

大切な事は、相続税の計算を間違わない事です。

申告した税額が間違っていると、延滞税など余計な税金を納めることにつながります。

ここでは相続税を自分で申告するにあたり、注意すべきポイントを見ていきます。

法定相続人を正しく把握する

相続税を計算するには、法定相続人を正しく把握する必要があります。

法定相続人の数によって相続税の基礎控除額が決まるためです。

 

法定相続人には故人の配偶者や子どもなどが該当します。

子どもなどの直系卑属がいない場合は親などの直系尊属、子も親もいない場合には兄弟姉妹へと法定相続人の権利が移ります。

子どもの中には、認知した子どもや元配偶者との子どもも含まれるため注意が必要です。

故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をすべて確認し、そのような子どもがいないか確認してください。

基礎控除額を正しく計算する

基礎控除額の計算方法は次の通りです。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

 

法定相続人が相続を放棄した場合でも、基礎控除の計算上は法定相続人の数に入れて計算します。

相続を放棄したからといって計算から除外してしまわないよう注意してください。

相続する財産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税を納める必要はありません。

不動産の評価を正しく行う

不動産は現金などと違い、価値を評価しなくてはいけません。

自分で行う場合は正しく評価できるよう注意が必要です。

 

不動産の評価は国税庁が示している「財産評価基本通達」に則って行います。

土地の種類や使われ方によって計算が変わるため非常に複雑です。

評価の際には、とくに次の事に気を付けて評価してください。

 

  • 自分で使用している土地か他人に貸している土地か
  • 土地の上に建物が建っているかいないか
  • 建物の所有者が自分か他人か
  • 自分が所有する建物の場合、自ら住んでいるのか他人に貸しているのか

 

さらに不動産の相続税評価額は、特例が適用されると最大で80%減額される可能性があります。

特例の適用にはさまざまな条件があるため注意が必要です。

生前贈与を受けている場合

生前贈与についても相続税が課せられる可能性があります。

 

亡くなる前3年以内に行った贈与は相続とみなされ、相続税の計算対象となります。

贈与税には年間110万円の非課税枠がありますが、その分も相続税の対象となるため注意してください。

 

非課税枠を超え、すでに贈与税を納めた分の生前贈与も相続税の対象となります。

そのままでは贈与税と相続税が二重に課せられてしまうため、贈与税額控除を利用し対応してください。

生前贈与のルール変更に注意

2024年11日から生前贈与のルールが変更され、生前贈与を相続とみなす期間が「亡くなる前3年間」から「亡くなる前7年間」に変更されました。

簡単に説明すると「亡くなる前7年以内に行った贈与は相続とみなされる」という事です。

 

ただし新しいルールが適用されるのは、202411日以降に行った贈与です。

2023年1231日以前に行った贈与は「亡くなる前3年以内」のルールが適用されます。

そのため、生前贈与を相続とみなす期間は次のようになります。

 

  • 2026年1231日以前に亡くなった場合、亡くなる前3年間
  • 2027年11日以降20301231日以前に亡くなった場合、20241月1日から亡くなった日までの期間
  • 2031年11日以降に亡くなった場合、亡くなる前7年間

 

相続とみなされる期間は段階的に伸びていき、203111日以降は完全に7年間となります。

まとめ

この記事では、相続税を自分で申告する時の注意すべきポイントについて解説しました。

相続税を申告するには、条件に合わせていくつもの計算を行う必要があります。

計算を誤り、納税額を間違えてしまうと、ペナルティで延滞税や過少申告税が課せられてしまう可能性があります。

計算や条件の判断が難しいと感じた場合には税理士へ相談してください。

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