相続税の申告期限|遅れた場合のペナルティも併せて解説
相続する財産に相続税がかかる場合、申告期限までに納付しなければいけません。
相続税の申告期限はいつなのか、申告をするにはどうすればいいのか。
また、もし申告期限までに納付しなかった場合、どのようなペナルティがかかるのかを併せて解説します。
相続税申告が必要な場合とは
相続をするとすべての人に相続税がかかるわけではありません。
相続や被相続人の死亡前3年以内に贈与、相続時精算課税制度で贈与により取得した財産の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合に相続税の申告が必要となります。
相続税申告の期限
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うこととなっています。
1月5日に死亡した場合、翌日の1月6日から10ヶ月なのでその年の11月5日が期限となるわけです。
ちなみに期限の日が、土日祝日の場合はその翌日が期限となります。
死亡したことを知った日とは
相続税の申告において「死亡したことを知った日」というのは、単に「死亡日」ではありません。
- 同居していなかったために死亡した日時が不明の場合
- 失踪によって死亡日が確定した場合
- 死後に認知された場合
上記のように、実際に死亡した日が不明なケースは「死亡したことを知った日」が基準となります。
相続放棄と限定承認の申告期限
相続放棄と限定承認は、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に申告をする必要があります。
相続放棄というのは、被相続人のすべての財産の相続を放棄するという制度のことです。
「借金」などのマイナス財産が多い場合の選択肢のひとつでもありますが、相続放棄を選んだ際には、その他のプラス財産も受け取ることはできなくなります。
限定承認というのは、相続したプラスの財産の限度までマイナスの財産を引き受けることができるというものです。
プラスマイナス0の相続です。
相続税を放棄するか否かは早めに結論を出す必要があります。
相続税申告書類の提出先
相続税申告書類の提出先は、被相続人が死亡した時点の住所地が管轄の税務署となります。
財産を相続した人の住所地の税務署ではないので注意が必要です。
相続税納税の期限と方法
相続税の納税の期限は、申告を行ったあと申告期限までに納付することになっています。
納税は税務署や金融機関などでも行うことができます。
相続税の納税は、一括納付と決められています。
相続税は金額が大きくなる場合が多いので、相続税を支払うための現金を準備しておく必要があります。
クレジットカードでの納付
相続税は一括納付と決められていますが、現金のほかにクレジットカードでの納付も可能です。
期限を少し延ばしたい程度であれば、検討してみてもいいかもしれません。
ただし利用限度額があったり手数料がかかったりする場合があるので、確認は必要です。
期限までに納税できない場合
基本的に税金は一括で納付するのが原則となっています。
しかし相続税の金額が大きくて一括納付が難しい場合には、延納や物納という特別な制度で対応することも可能です。
相続税の延納とは
どうしても期限までに納税できない場合には、延納という制度を利用することもできます。
延納は相続税を分割払いすることのできる制度です。条件としては担保を提供することが求められます。
また相続税の申告期限までに手続をして許可を受けなければいけないことと、「利子税」という別に税金が生じることにも注意が必要です。
相続税の物納とは
相続税を期限までに納税できない場合、延納のほかに物納という制度の利用も検討できます。
物納というのは、相続で取得した財産をそのまま納める方法です。現金ではなく不動産であれば不動産のまま納付することが可能です。
ただしこの場合も延納と同じで相続税の申告期限までに手続をして許可をもらう必要があるので、注意が必要です。
相続税の申告や納付が認められる事由
基本的には相続税の延長というのは認められていませんが、特別な場合にのみ手続をすると延長が認めてもらえる可能性があります。
《過去の事例》
- 地震や台風などによる自然災害などが原因
- コロナウィルス感染症による感染拡大が原因
- 遺留分侵害額請求があった場合
- 相続人となる胎児が生まれた場合
- 死亡退職金の支給額が確定した場合
相続税の申告期限に遅れた場合のペナルティ
相続税は被相続人が死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告書を提出し、納付しなければいけません。
なんらかの理由で、もし相続税の申告期限に納付が遅れてしまった場合はどのようなペナルティが課せられてしまうのでしょうか。
延滞税
申告期限が遅れてしまった場合、相続税には延滞税がかかります。
延滞税の年率は、経過日数によって変わります。
- 申告期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは、年3%
- 申告期限の翌日から2ヶ月を経過した以降は、年6%
申告期限に申告がされていない場合のペナルティ
申告期限までに、正当な理由なく申告をしていない場合にもペナルティは課せられます。
正当な理由というのは自然災害や交通等の事故など、やむを得ない理由が原因によるものです。
無申告加算税
無申告加算税というのは、申告書の提出が遅れることで課せられる税金のことです。
自主的に相続税を申告した場合は、納付すべき税額の5%。
税務署で指摘をされてから相続税を申告した場合は、納付すべき税額の15%または20%。
納付すべき税額が300万円を超える部分は30%。
時間がかかればかかるほど税金は増えるので、できる限り早めに納付することが大事です。
過少申告加算税
過少申告加算税というのは、申告した相続税額が不足していた場合に課せられる税金のことです。
税務調査の前に自主的に修正の申告をすれば課せられません。
税務調査で指摘された後の場合、納付すべき税額の10%または15%。
重加算税
重加算税というのは、財産や債務を隠蔽または仮装して相続税の納付を逃れようとした場合に課せられる税金のことです。
相続税を期限内に申告したうえで隠蔽または仮装した場合、追加納付すべき額の35%。
相続税を申告していない場合、追加納付すべき額の40%。
相続税の納付が苦しいからと言って逃れようとしても、結局ばれて重加算税を納付することになっては元も子もありません。
決められた税金はしっかり納付することが大事です。
まとめ
相続税の申告期限は、基本的には被相続人の死亡したことを知った日から10ヶ月と決まっています。
10ヶ月を一日でも過ぎると、延滞税や加算税などのペナルティが課せられてしまいます。
相続税の申告は非常に複雑です。また10ヶ月以内に相続人全員と協議し、相続財産の確認や資料を揃えたりするのは、なかなか至難の業と言えるでしょう。
自らできないことはありませんがミスやトラブルなくスムーズに行うなら、できれば税理士などの専門機関へ相談することをおすすめします。
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