生前贈与で贈与税を減らすためにできること

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生前贈与で贈与税を減らすためにできること

生前贈与を検討する場合、贈与税のことを知っておく必要があります。

相続税対策として生前贈与を考えているならば、生前贈与の効果的な方法を知らなければ、かえって高くなってしまうことがあるためです。

本記事では、生前贈与で贈与税を減らすためにできる具体的な方法について解説します。

生前贈与とは

生前贈与とは、生きているうちに自分の意思で自分の財産を譲ることを言います。

贈与できるものとしては預貯金などの現金のほか、土地や建物などの不動産も含まれ、一定額を超える財産を贈与した際には、受贈者(贈与を受ける人)が贈与税を支払うことになります。

贈与税の課税方法

贈与税の課税方法には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

  1. 暦年課税
  2. 相続時精算課税

1.暦年課税

暦年課税は、1年間の受贈財産のうち、基礎控除額110万円を除く額に対して1055%の累進税率を適用します。

基礎控除額の110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要なため将来の相続財産を徐々に減少させる効果が期待でき、贈与税を減らす方法としては取り組みやすい手段と言えます。

一方で、毎年同額ずつ贈与を受けると、あらかじめ一定の金額を贈与するという取り決めがあったものとみなされ、贈与税が課税されてしまう場合があるため注意が必要です。

たとえば、毎年110万円ずつ20年にわたって贈与を受けた場合、毎年基礎控除額の110万円以内なので無税だと考えられますが、最初から2,200万円(110万円×20年)の贈与をする意図があったとみなされ、2,200万円全額に課税されてしまうことがあるのです。

2.相続時精算課税

相続時精算課税は、基礎控除額110万円と特別控除額2,500万円を除く額に対して一律20%の税率を適用し、贈与を行った人が亡くなった後、その贈与財産の贈与時の価額に相続財産の価額を合計した金額から相続税額を計算、納税する仕組みです。

相続時精算課税の最大のメリットは2,500万円の特別控除枠があるという点で、一括で2,500万円の贈与を受けた場合と、数年にわたって合計2,500万円の贈与を受けた場合の両方に適用することができます。

ただし、相続時精算課税を選択できるのは贈与者(贈与を行う人)が60歳以上かつ受贈者(贈与を受ける人)が18歳以上で、贈与者の直系卑属(子や孫)であることが条件となります。

また、選択するには一定の書類を添付した届出書を提出する必要があり、一度選択すると暦年贈与へ変更することができないため注意が必要です。

贈与税を減らすためには特例制度を活用

贈与税を減らすためできることとして、贈与税が非課税となる特例制度を活用する方法もあります。

非課税となる特例には以下の3つがあります。

 

  1. 住宅取得資金贈与の特例
  2. 教育資金の一括贈与の特例
  3. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例

 

いずれも父母や祖父母など直系尊属から子や孫などへの贈与に対する特例であり、適用期間が決められています。

1.住宅取得資金贈与の特例|令和8年12月31日まで

受贈者:18歳以上かつ年間所得が2,000万円以下

非課税限度額:最大で1,000万円

適用期間:令和6年1月1日~令和81231

 

父母や祖父母などから18歳以上の子や孫が住宅の新築や購入、増改築などの資金を贈与された場合、最大で1,000万円まで贈与税が非課税となります。

対象となる家屋は、床面積50㎡以上(年間所得が1,000万円以下の場合は40㎡以上)かつ240㎡以下の住宅用家屋で、非課税となる限度額は住宅の種類によって異なります。

一定の耐震性能や省エネ性能、バリアフリー性能を有する住宅は1,000万円、それ以外の住宅では500万円が非課税となります。

また、中古住宅を購入する場合は、耐震基準に適合していること、昭和57年以降に建築されていることが条件となります。

この特例の適用を受けるためには、贈与税申告の期間内に一定の書類を添付した贈与税申告書を税務署へ提出します。

2.教育資金の一括贈与の特例|令和8年3月31日まで

受贈者:30歳未満かつ年間所得が1,000万円以下の子や孫

非課税限度額:1,500万円

適用期間:平成2541日~令和8331

 

父母や祖父母などから30歳未満の子や孫が教育資金を一括で贈与された場合、1,500万円まで非課税となります。

教育資金には、入学金や授業料といった学校に支払う金銭のほか、学習塾代や水泳、ピアノといった教養の向上のために支払う金銭も含まれます。

この特例の適用を受けるためには、教育資金を預け入れる口座の開設が必要であり、受贈者が口座を開設した金融機関の営業所などに「教育資金非課税申告書」の提出をしなければなりません。

3.結婚・子育て資金の一括贈与の特例|令和7年3月31日まで

受贈者:18歳以上50歳未満かつ年間所得が1,000万円以下の子や孫

非課税限度額:1,000万円

適用期間:平成2741日~令和7331

 

父母や祖父母から18歳以上50歳未満の子や孫が結婚・子育て資金を一括で贈与された場合、1,000万円まで非課税となります。

結婚資金には挙式費用のほか、新居費用、転居費⽤などが含まれ、子育て資金としては不妊治療費、出産費⽤、産後ケア費⽤などが含まれます。

この特例の適用を受けるためには、教育資金口座と同様に結婚・子育て資金を預け入れる口座の開設が必要であり、受贈者が口座を開設した金融機関の営業所などに「結婚・子育て資金非課税申告書」の提出をします。

まとめ

贈与税を減らすためにできることとして、課税方法の違いや特例の活用を中心に解説しました。

特例の活用にはメリットがある一方で、特例適用のための細かな要件があったり、贈与者が亡くなった場合は相続財産に加算されたりと、きちんと理解していないとかえって贈与税が高くなってしまうといったリスクも考えられます。

贈与税を減らしたいと考えた際には、専門家のアドバイスを受けてみることも検討してみましょう。

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